首相がいっつも持ってる紅白の皮の本は何?

 ドゴロニデ首相の就任式、思えば彼は何か紅白の小さい手帳の様な本を持っていた。

 国民議会審議を思い出してみる。彼は何か紅白の小さい手帳の様な本を読んでいた。

 首相定例会見を思い出してみる。彼は何か紅白の小さい手帳の様な本に書いていた。

 肌身離さず持っている、付箋だらけのあの本は何か皆が気になっているはずだ。調査の結果、あれは“紅白の書”というものらしい。パレンバン市長時代に著したもので、自身の政治・人生の哲学を中国や日本、インドネシア、ペルシャの古典や仏教経典から厳選したほんのひと絞りの文章を引用して表現したものだという。

 革製で汗や雨水に強く、またトラベラーズノートの様になっており、メモ帳部分の入れ替えが可能で、付箋やペンは備えつきという超優れもの。

引用している文書の出典は以下の通り。

・詩経(中国)

・論語(中国)

・徒然草(日本)

・茶経(中国)

・般若心境(仏教)

・スジャラ・ムラユ(マレー)

・ルバイヤート(ペルシャ)

・戦国策(中国)

 これらを、“心の平安”、“無の境地の効果”、“大人たる者”、“自然の感動”の4つの項に分けたもの。

 記事筆者が一読した結果、抽象的であり、分かりづらい点も多いと思うが、何か核心を突く面白い文章が多々あった。さすがの文才による文選だ。特に“大人たる者”、“自然の感動”以外の2つの項は心の安寧や真理の追求といった精神的な論が展開されており、ドゴロニデの精神世界への一歩となるとともに、心が疲れている方に是非一読して欲しい書だった。“無の境地の効果”は精神的、学術的に禅の効果や意味を探求した項で、“禅は宗教によらず、無とその効果を引き出す為の、個人的に最も有効な手段の一つ”と、宗教によらず禅と無の境地への深追いと精神統一を勧めている。

 “大人たる者”は政治家のみならず、社会での振舞い方などを書いてあるが、戦国策の“滅私奉公”等に代表される、働きアリの様な日本人のブラック企業的価値観が多く、あまりインドネシア人には合わないと思われる。のんびりした南国で、体を壊すまで働いているのは彼だけなのだから。

 最も難解なのは“自然の感動”だ。ルバイヤートや詩経、仏教経典からの引用が多く、はっきり言って何を言っているのか分からない。彼は天才だからなのか?私が無知すぎる故なのか?真理に近づこうとしている気がしてならない。

 さて、彼のいつも読んでいる、所持して、書き込んでいる手帳の正体が分かっただろうか?

 本人に直接取材し、皆が手に取る事について意見を問うと、「私の著書の中で最高のものであり、唯一の政治に触れた著書です。私の人生からの精神理論が全てこの取扱説明書程の手帳にまとまっています。メモ帳にもなるし便利ですよ。心とその安らぎ方、それが安らぐ言葉について理論的に触れています。しかし、私はこの本が毛沢東語録の様になる事を恐れています。精神世界は人に押し付けるものではありませんから。」

 筆者も、明日から携帯しようかと思う。

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