「彼は天才です。彼は狂気的な本を書き上げました。少し読んでみましたが、何を書いているかさっぱりです。」
あの文豪であり、上司に当たるドゴロニデ首相にこう言わしめた狂気の本を著したのはアブド・ソイセノ副首相だ。
ソイセノ副首相は昨日、“私の夢”(impianku:インピアンク)と題した全36巻に渡る超大作を発表した。その一冊々々は辞書の様に分厚い。首都ジャカルタ理学研究所を退職した後から、ラッパーとなり、政界に飛び込んで来るまでのほぼ35年以上に渡り、ずっと書き続け、印刷までに3年を費やし、遂に昨日大成したのだ。それらは一気に出版される。
実は、ソイセノ副首相はラッパーをやり続ける四年間、再度ガジャ・マダ大学に進学し、医学部の博士号を取得。そして精神科医の資格を持っている。最難関大学に平気な顔して二回も入学する辺り、天才である。
本人曰く「この本は私の人生唯一の著作であり、唯一の精神科医としての論文であり、仕事である。」と語っている。
“私の夢”を記事の筆者は早速一巻の三分の一までを読んでみたが、既に頭がパンクしそうな勢いになる程難解である。精神学論文と言えば精神学論文であるし、社会学論文と言えば社会学論文だし、哲学書と言えば哲学書だし、物語と言えば物語だし、はたまた宗教的意味もありそうである。これは後世に残る歴史的大奇書だ。
【ナイトメア(悪夢)】、【宇宙と一体となる】、【数学】、【まとめ】という全四章と別冊特別編【子供向けインピアンク】から成り立っている。
副首相曰く「【ナイトメア】には“意識とは己の電気信号とその精神とは一体であり、また、全宇宙の他とはその一切が断絶されている。これらは人間社会構造においても同義であり、その悪夢からの解放の手段はこの世界線に存在しない。また、それを抱く者も他に存在しない。”という内容であり、【宇宙と一体となる】では““ゲノルカ人民共和国連邦”という架空の軍事国家に住む悩めるある男の胎児の夢から死に、宇宙になるまでの一生涯を通して、第一章をより強く理論的に意識してもらう”ことを目的としている。【数学】では、少々脱線して、“私の考える数学から、己の意識と精神を科学的に分析する”章である。【まとめ】は名前の通り、まとめだ。この世はあなたの物であり、あなたしかいないという断定である。」としている。因みに、子供向けインピアンクには、解説無しで大量の数式が載っているのみである。
全て読了したわけではないが、その暁にはまた記事を書こうと思う。
コンパス・ジャカルタ紙日本語版
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